• マーケターは自分自身に届かないような形骸化したマーケティング手法を使って、ユーザーのリアルな行動には注目しないことが多い

  • 人々のリアルな振る舞いにもとづき、マーケティングすることこそが最も効果的

マーケティングを行うときは、目標数値設定に注力する前にどんな人を対象にするのかを検討しよう。

送ったメールの開封率やソーシャルメディアの投稿がエンゲージメント90%以上だったら、どんな成果を得られるだろうか。これほど高い割合を聞いたことは殆どないと思うが、ワイン・ライブラリー(Wine Library)という世界で最も早く(1990年台)Eコマースを始めたワイン販売店はこの結果を出した。
その秘訣は何か。同店が競合他社に先んじて、対象者のリアルな行動を基にマーケティングをしたからだ。

企業のマーケターというのは、広告を展開しやすい既存のマーケティング・プラットフォームを検討する傾向があり、そこで算出される数値の到達度に注目する。
バナー広告のクリックあたりのコストはいくらだったか?YouTubeの動画広告は何回視聴してもらえたか?最後に送った電子メールの開封率は?
これらはすべて重要だが、本来のゴールは、打ち出した施策が人々の注目を集め、購買へと繋げること。それを叶えるには、単に「数値目標」だけを定めるのではなく、「人ありき」で考えなければならない。あたかも自分たちのことのように。

自分自身に届かない・刺さらないマーケティング戦術をしているとしたら、そのやり方に疑問を持つべきだ。

“YouTubeユーザーは「広告をスキップ」しか見ていない” 自動車メーカーOpelが出した広告で、この事実が明らかになった。

“YouTubeユーザーは「広告をスキップ」しか見ていない”
自動車メーカーOpelが出した広告で、この事実が明らかになった。

バナー広告はどのくらいの頻度でクリックしていますか? 広告を見た人が製品について知れる便利さがありながら、見る人の3分の1以上は不快に感じ、過半数は信用しない。また、バナー広告はクリック数の半分が、偶然押しただけだったりする。

ーYouTubeのプレロール広告を見る?それとも「広告をスキップ」ボタンを押す?ー 他のブラウザのタブを開いておいて、マーケティング担当者が「視聴」してくれたことに喜んでいるのを横目に、広告が終わるまで見ずに待っているかもしれません。ミレニアル世代の84%の人達と同様に、基本的に視聴しないのなら、そうした人をターゲットとして考えるべきではないでしょう。

アメリカなどの海外の人々は、ケーブルテレビのCMはどれも早送りにし、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)やNetflixを好む。あるいは、CMが流れている間にスマートフォンを操作して、自分の受信BOXに届いたメールマガジンの90%を削除する。 日本では今もテレビの影響力が大きいが、一部の人々が同じような行動をとっていることは間違いない。

これらのチャネルは今もマーケティング手法としての地位を保っているが、以前よりも効果は弱まっている。 ユーザーに実際届いていないチャネルへ多くの競合他社が広告を出している中、企業は目新しい手法や媒体に自社リソースの一部を割り当てていくべきだ。なにはともあれ、自社独自のマーケティング手法で各々のユーザーに対してインパクトを与えられていないのに、どうやって広告をみない人々の気持ちを掻き立てることができるのだろうか?

少し前の話を思い出していただきたい。インターネットを単なる一過性のものだと考え、マーケットの転換期を見過ごした人たちが大勢いた。 テレビが世間に普及する前の状態と同じだったし、近年だと、多くの人はFacebook、Twitter、Instagramなどですら懐疑的だった。人々のリアルな行動に基づき歩を進めなかったから、多くのビジネスでは上手く行かなったとも言える。

少し前の話を思い出していただきたい。インターネットを単なる一過性のものだと考え、マーケットの転換期を見過ごした人たちが大勢いた。
テレビが世間に普及する前の状態と同じだったし、近年だと、多くの人はFacebook、Twitter、Instagramなどですら懐疑的だった。人々のリアルな行動に基づき歩を進めなかったから、多くのビジネスでは上手く行かなったとも言える。

新しいマーケティング・チャネルと人々の行動トレンドを無視することは多大なリスクを伴う。

今、何が起こり、次に何が来るかにフォーカスすることは、未来を開拓することに似ている。株や不動産を初期の安価な頃に購入するかのように。

Instagramを例に挙げると、多くの人々は、2012年にFacebookの買収された時にその名を知り(この時点でInstagramは約30万人ユーザーと急成長していた)、企業が広告のプラットフォームとしてInstagramを検討し始めるのにはそれから数年を要した。検討開始した頃には競合が激しくなっていて、フォロワーを集めたり、コンテンツを見てもらうのがより困難で、さらにコストがかかるようになっていた。随分あとになってInstagramを開設した企業の多くは、広告媒体の有無や売上に繋がる数値しか見なかったために、多くの利益を逃した。利用者が急増しているという事実があったにも関わらず。

人々は今、Facebookで長時間、動画を視聴しており、Facebookのアルゴリズムもそれを推奨している(特にライブ映像)。この事実にも関わらず、多くの企業は自分たちのウェブサイトへのリンクを投稿している。その手法が当たり前だったからだ。 一方で、競合他社は、今に適したコンテンツを作成し、Facebookの意図とユーザーの欲していることに応じてブランディングし、大手競合との差を縮めている。例えば、ドードー(Dodo)という動物福祉のためのサイトでは、設立からわずか2年でFacebook上の平均投稿閲覧回数200万ビューを達成した、と先日のFacebookが報じていた。

今この瞬間にも、多くの人がSnapchatに時間を費やしている。実際に、多くの人々は、今ではTwitterよりもSnapchatを毎日利用しており、十代の若者にとって最も重要なソーシャルネットワークとなっている。日本企業にとって、Snapchatは2010年のFacebook、2012年のInstagramなのだ。増加を続けるユーザーが徐々に年齢を重ね、既存ユーザーの紹介でさらにユーザーが増えていき、さらに競合他社が少なければ…その後は想像に難しくないだろう。

コメディのワンシーン:Snapchatを使うオバマ大統領 (オバマ夫人のスマホでSelfie中)

コメディのワンシーン:Snapchatを使うオバマ大統領
(オバマ夫人のスマホでSelfie中)

ワイン・ライブラリーは驚異的なメール開封率を達成したことで、鮮やかなグラフィック、優れたキャッチコピー、細かなターゲティング、といった方法を頼らずに収益を生み出した。 まだ誰もがメールを利用する時代が来る前にメールに目をつけ、競合が存在しなかったから、収益に繋がったのである。 人々がどこへ行き、何をするのか。 マーケターはあたかもその人たちのように振る舞い、自分たちのマーケティング・ミックスに取り入れる要素を、大いに検討すべきなのだろう。


via TAM
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